<メルマガ転載>第33回介護事業所の現状

祝WBC優勝!

その裏側で、先週、外国人をお世話になっています特養の施設長と面談する機会があり、驚きました。

社会福祉法人ですので、3月に期末を迎えます。なんと今期は大赤字になる。とのことでした。
原因はエネルギー高により、電気・ガス加えておむつ等の消耗品の高騰です。施設の収入となる利用者様からの使用料は、つまり売上は変わらず、支出が大幅にアップし、今期は大赤字の予測。また来期以降にも黒字化が見込めない、とのことでした。
施設の利用料については、以下の項目から決定されますが、
 ・居住費
 ・食費
 ・日常生活費
 ・施設介護サービス費
 ・介護保険適用外の費用
 ・介護サービス加算
介護の給付金が固定で、かつ他の施設との競合もあるため、値上げがやりにくい事に加え、経費のほとんどが人件費になり、定められた人員配置基準があり人手を減らすことも不可能に近い、とコストダウンの手段もない、と。
例えば、特養の配置基準は以下の通り
 代表者・管理者:1人(社会福祉事業に2年以上従事した者に限る)
 医師:入居者の健康管理および療養上の指導に必要な人数
 介護職員または看護師:入居者3人に対して常勤1人以上
 ケアマネジャー:入居者100人までは常勤1人以上、それを超えると追加
 生活相談員:入居者100人に対して常勤1人以上(社会福祉主事、社会福祉事業に2年以上従事した者などに限る)
 機能訓練指導員:1人以上
 栄養士:1人以上
介護職員については、入居者3人に常時1人を24時間体制で対応すると実際にはその4倍の人手が掛かるので、出勤している職員一人で平均12人をカバーする必要があり、実際には入居者1.5~2人に1人の介護者が必要になります。これに昨今のインフレに対応したベースアップ、岸田総理が提唱する、男性育休取得率80%と、一般企業と同じく対応が求められており、施設側では対応の余地がない、と大変嘆いておられました。

3月23日の日経新聞記事”行き場失う「介護難民」 事業者の倒産最多、対策急務
でも高齢者施設の閉鎖が相次いでいると!これからも施設利用者数の増加が見込まれる中、介護施設に入れない、「介護難民」が増えつつあると。。。
当然ながら、介護事業所が使えない場合は、その家族にしわ寄せが来て、家族も就業困難になる、と負のスパイラルにおちいってしまいます。また記事中の頭の痛い点が、2021年の施設を経営する359法人について、介護職員一人を採用するために紹介会社へ支払った金額は、平均49万5千円。高すぎると、仰る事業主様の話も掲載されていました。弊社もほぼ同額の手数料を頂いていますが、外国人を採用するにあたり、出身国の送出し機関、国内でのビザ取得費用から、計算すると紹介会社も料金はギリギリの線です。これでどうやって、今後施設が運用できるのか、増加する施設の利用者様を受け入れていくのでしょうか?
とうとうデフレが止まり、待望のインフレが始まりました。インフレは、物価が上がりますが、給料も並行して、もしくはそれ以上上がります。一方現金の価値が下がります。借入た金額は目減りします。世界一おおきな国債発行額(借金)の日本も恩恵を受けます。恩恵を享受できないのは、年金だけが収入であるリタイヤした年金生活者になります。また中小の経営の行き詰った介護事業者は、他の介護事業者やファンドがどんどん買収に動いてくるはずです。
話はそれますが、アメリカで大きな銀行が破綻しました。政府が全額預金保護をサポートします。日本でもりそな銀行が破綻に陥った際には、国が保護しました。それに近い国の保護が、今、介護事業者に必要になっている、と考えています。
我々や家族に介護が必要な時代が来る前に。。

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