<メルマガ転載>第12回フィリピン人の海外での就業について

最近、国内で就業しているフィリピン人から問合せが増えています。
1.今の職場は山奥なので、都市部で就業したい
2.交代勤務の同僚と相部屋なのでゆっくり眠れない
3.フィリピンで契約した契約書の給料と実際にもらった給料が明らかに低い
等々
実はフィリピンの海外労働者には、フィリピン国内の法律を遵守する必要があります。

この特定技能ビザで就業された方は、最長5年間という制限はありますが、
日本人と同等以上の待遇が雇用主に求められます。
また日本人と同じように、1か月前に申請すれば、退職・転職も可能です。

ところが、フィリピン人の海外労働者は、最低2年間の継続勤務が
フィリピン国内の法律で義務付けられています。
自己都合での帰国はこれには含まれませんが、転職が出来ません。
違反すると、フィリピン海外雇用庁(POEA)でブラックリストに入り、
今後一切の海外労働の許可が下りなくなります。

日本に限らず、世界中に多くの海外就労者を送り出すフィリピン。
国民の10人に1人が海外に移住している、と言われています。
その背景には、フィリピンの有する(1)若年層の高い人口比率と失業率
(2)高い英語力、(3)充実した政府のサポートという3つの特徴がある。
その1つが、日本の雇用主+フィリピン人労働者+フィリピン国人材紹介会社
の3者で、就労時にPOEAの海外労働許可が必要になる点です。
<出入国在留管理庁フローチャート>

日本でフィリピン人労働者を受け入れる場合(日本人の配偶者、学生除)
入国管理局でのビザの発給に加え、POLO(東京、大阪)へ求人票を
提出し、雇用主の面接を経てPOEAから認定を受ける必要があります。
いわゆる日本の労働局に近い、労働者を守る公的機関が、世界中に
存在する、というイメージです。
この許可が得られない、もしくは法律に違反した場合、フィリピン人を
雇用できなくなる等、国家が海外労働者を保護しています。
日本の法律では、外国人にも日本人と同じ法律が適用されるため、
日本の場合は意味のない認定になるのですが、その姿勢はすごいですね。
この代わりに、各国の雇用主に迷惑を掛けぬよう、最低2年間の就業
も義務化されているのかな、と思います

よって始めの問合せの1.2は、雇用主と相談し、解決出来なくとも、
労働者が2年間我慢する必要があります。
3は、明らかに雇用主の違反です。フィリピンでの契約とは、POLOの申請時
に提出している求人票を差し、それが日本で不履行であるという意味です。
これが国内のビザ申請時に提出した契約書と同じであれば、国内の
法律はクリアするのですが、2重契約書はいけません。
これが公になった場合には、日本の雇用主+フィリピン国人材紹介会社の
2社がライセンスを剥奪となり、日本の雇用主はフィリピン人の雇用が出来ない、
人材紹介会社は、海外への人材を送出せなくなります。
労働者は2年間の縛りが溶け、自由に転職ができます。

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