<メルマガ転載>第17回外国人介護職員のビザについて
先日入管より、特定技能運用状況の令和4年9月時点の
数値発表がありました。概要は以下の通り
1.特定技能1号在留外国人数:108,699人
(2024年度末目標345,000人、進捗率31.5%)
2.同2号:3人
3.同1号試験合格者(国内+海外合計)
日本語試験:56,149人 専門試験:145,293人
*日本語試験はJFTbasic合格者、JLPTN4は不含み
*同試験合格者と同在留外国人は一見バランスしている
様に見えるが、実際は技能実習生経由(無試験)での就業者
が7割強を占めるので、試験合格者の就業までの門は狭い
4.最多就業業種は、飲食料製造業33%、製造業20.9%、農業13%
10月の外国人入国者が公表されました。
訪日外国人は、49.9万人。9月の2.4倍と急増。
ところがコロナ前の2019年10月比では、80%減とのこと。
今、奈良の街に出ると、白人系の外国人が多く目につきますが、まだ、1/5。中国がロックダウンを進めている影響か、回復は初期段階だそうです。
確かに受け入れるホテルを始め観光業界、運輸業界も急な回復についていけない事を聞いていますので、バランスよく回復していくでしょう。
さて本日は、外国人介護職員のビザについてご説明します。
特定技能では14業種に限って外国人の就労が認められますが、この中で建設・造船のみ、特定技能2号が設定され、1号には、最長5年、家族の帯同不可、という条件が付帯しますが、2号へ昇進すれば、期限なし、家族の帯同可と、一般的な高度外国人と同じ処遇が与えられます。また現在までに特定技能2号を取得した外国人は、建設紹介で3名おられます。新聞で紹介されていました。
この2業種に加え、介護業種に関しては、5年以内に「介護福祉士」の資格を取得すれば、介護ビザに昇進可能で、同じ処遇が与えられます。
入管の情報によれば、この介護の方式を他業種にも展開したい(熟達した外国人労働者を手放したくない、との想い)と報告されていますが、具体的な進捗はまだありません。制度開始から5年後の2024年3月までには、業種を追加してほしいものです。
そんな制度において、3業種は外国人にとっても大きな目標となり、また介護については資格取得試験を最初に全世界展開しました。よって希望者が多い業種です。
その介護のビザについて説明させて頂く機会も多く、ここでも説明させて頂きます。
ルートは4種類
1.EPA(経済連携協定)ルート、対象はインドネシア・フィリピン・ベトナム
国が各国より介護福祉士候補者として選抜。受入れ希望介護事業所で就労・研修
3年以上の実務経験後、介護福祉士資格試験へ挑戦
合格後、介護ビザにて就業(就労期間制限なし)
2.在留資格「介護」 対象国制限なし
外国人留学生として入国、1~1.5年、日本語学校へ入学。入学中は週28時間まで就労可。
その後介護関連専門学校へ入学。卒業後に仮介護福祉士を取得し、試験合格を目指す。
学費はほぼ奨学金で前借し、本人が働きながら学費を返済
3・技能実習(2017年11月~新設 対象国は他の技能実習生に準ずる)
技能実習生として介護施設で就労、通常3年、最大5年まで就労可能
就業中に介護福祉士資格試験へ挑戦。転職不可等、一般的な技能実習生と同じく、就業中は厳しい制限に縛られる。
4.特定技能1号(2019年4月~新設 対象者は特定技能介護職種合格者)
最長5年就労可。上記3種と大きく異なるのは、雇用主は日本人と同じ待遇で外国人を就業させること。
と、簡単に説明する以上ですが、4で説明の通り、特定技能の就業が、就業者の給料が一番高いのです。
実際に就業してる上記フィリピン人も支給額で27~28万円、残業約40時間、深夜勤務手当、処遇改善手当、住宅手当込。
これは筆者も驚きました。未経験者で、研修期間は1~2か月。3カ月目からこの給料が得られるのです。
SNSで見知らぬ仲間が簡単に情報を交換できる昨今、旧の1~3制度で就業を希望する外国人は、騙されない限り皆無です。また現在の1~3の制度で就業している外国人も、初期の契約期間を満了すれば、特定技能へ変更が可能であるので、特に専門学校を目標にしてきた外国人は中途退学者が増えていると思われます。
さて、この介護業界では、2025年に32万人の職員不足、2040年には69万人の不足が見込まれています。処遇改善手当を政府が支給し、日本人の定着率を向上させる事に加え、特定技能の目標人員(2024年までに6万人)と、現在はまだまだ目標が遠い感はいなめません。
また、アメリカの知人から得た情報では、介護職員は12時間勤務x週4日、時給は20ドル、約3千円とのことでした。アメリカ人らしいハードな勤務ではありますが、団塊の世代・少子高齢化とは、日本だけでなく、全先進国に存在します。これではフィリピンを始め、世界的な介護職員争奪は目の前に来ています。