<メルマガ転載>第59回去年の技能実習生の失踪者は9000人超
タイトルの記事、前々日からニュースを賑わせていて、大変残念です。失踪する外国人の総数は発表がありますが、その内訳として、技能実習生の失踪数が発表されたわけです。
昨年はほぼ1年間、新規の入出国が禁止されていた中、政府も特例で、3年間の期限の技能実習生を自動的に期限延長等、色々な支援策で、企業と外国人を守ってきて頂いてた、という背景で2018年の9052人に次いで過去2番目に多かった、との事です。現在の技能実習生は32万人なので、3%弱の比率です。
記事では、転職が認められない技能実習生が、より高い賃金を求め失踪した、つまりは、他の会社で違法に就労していた人が相次いだと見ているようです。
この表現から2つの問題点が読み取れ、1)技能実習生は転職が認められない。2019年から始まった、特定技能で来日している同ベトナム人は、転職が可能。2)本来就業させてはいけない技能実習生を、違法に雇用している企業がある、という事です。
この1)については、政府が現行の技能実習制度を発展的に解消し、今後は転職を可能にする、と発表しているので、国はきっちり取組んでいます。
ちなみに「技能実習生」と「特定技能」の違いは、「技能実習生」は、1993年に始まり、日本も日本語もまったく分からない外国人を最低4か月、語学や文化のトレーニングを行い、その後は企業での実習を通じて技能を取得し、その身に着けた技能を母国に帰って、母国の経済発展に寄与する。という日本の国際貢献の制度です。ところが、現在では、残念ながら安い労働力(最低時給、ボーナス無)として就業されている方がほとんど。例えば、介護の技能実習生については、2017年から始まりました。確かに日本の介護は「自立支援」なので、他の発展途上国の「介護=フルサービス」とは全く違います。ところが、そんな自立支援を勉強しても、母国に帰っても、今は役に立たない技術である、と言えるでしょう。また製造業についても、ほぼ製造工程は誰でもできる工程になっており、3年の期限を迎えた実習生を2年延長、もしくは特定技能へ移行が可能であるのに、ほぼ全員が帰国。かわりに新しい実習生を呼ぶ、と受入れ企業も実習生を国際貢献、と言いながら、安い労働力として使う技術を作り出しています。ただ、4カ月間の外国人の実習期間は、企業が負担しているので(労働者の給料を抑えて、実習期間のコストを捻出している)、企業ー実習生の関係は、うまくバランスしているとも言えます。
一方で2019年からスタートした特定技能ビザ。これは、日本語と専門試験に合格した外国人が、12業種限定で5年間の期限で就業ができる、また給料は同業の日本人と同じかそれ以上。しかもこの5年内に所定の試験に合格すると、特定技能2号にビザが変わり、期限なしで就業ができる、というもの。
この2つのビザの違いは明らかですが、同じ国から出てきた外国人には、技能実習生の待遇に問題を覚えてしまうことも充分にあります。3年後には特定技能に変更が可能なのですが、そこまで待てない。ベトナム人については、日本での就労時に多額の手数料を借金して入国しているので、早く返したい。そんな想いが失踪に繋がっているようです。
また、、そんな就業資格のない技能実習生を使う企業がある。これも大変問題です。実習生のトレーニング費用を一切負担不要ですから、企業も充分な給料を出せますが、外国人を雇用する以上、彼らのビザ(在留カードに記載)を確認してから採用しないと、後で足元をすくわれます。
丁度本日も1件問合せがございました。奈良の介護施設で雇用が決まり来日した、特定技能の外国人について、登録支援機関を使っていなかった、との事で、その事業者は雇用できなくなり、そんな理由により失業した外国人の雇用が可能であるか、との問合せです。弊社でビザの申請、特定技能の支援が可能である、とお伝えし、それならば面接をしましょう、との段取りになりました。
特に複雑なことは何もありませんので、どんどん国内にいる外国人も雇用してあげてください。日本の未来は、彼らにかかっています。長く就業頂けることを期待し、弊社も微力ながら伴走させて頂きます。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします